Sunday, April 13, 2008

東京魚市場卸協同組合:築地・卸組合、債務9億円「帳消し」 都が出資のファンド

東京魚市場卸協同組合:築地・卸組合、債務9億円「帳消し」 都が出資のファンド介在

 東京都中央区の築地市場の仲卸業者でつくる東京魚市場卸協同組合(東卸、伊藤宏之理事長)が農林中央金庫(農中)への債務9億7500万円を、都の出資する中小企業再生ファンドの介在で、4500万円で解消していたことが分かった。差額の9億3000万円の債務が事実上、帳消しになった。都は築地市場の移転計画を進めており、東卸内部の移転反対派からは「移転に絡めて、都が(推進派の)理事長らに便宜を図ったのではないか」との声が上がっている。

 東卸は約800の仲卸業者が加盟する築地市場の中心的存在。債務は、業者向けの立て替え金が焦げ付いたもので、歴代理事長が個人保証してきた。

 05年5月30日の東卸総代会議事録などによると、農中はこの債権を、都が04年10月に設立した中小企業再生ファンド「東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合」に05年3月に譲渡。ファンドはこれを翌月、東卸に4500万円で売却した。農中からファンドへの譲渡価格は明らかにされず、どちらが損をしたかは不明だ。総代会で伊藤理事長は「東京都の支援も頂き、一件落着した」と、都の関与を示唆した。

 ファンドは、中小企業の支援を目的に都が25億円出資して設立。仮に農中からの債権購入価格が、東卸に売却した4500万円より高ければ差額は損失となり、税金が処理に充てられた形となる。一方、農中が損失を出していれば、農中の出資者から追及を受ける可能性がある。一連の債権と金の流れについて、都金融課、農中とも「個別のケース」を理由に説明を拒んでいる。

 東卸は市場移転賛成派と反対派に割れており、反対派の理事らは「密室で決められた」と、不透明な取引を問題視している。伊藤理事長は「私から(債務処理を)都にお願いしたことは全くない。(処理結果について)経理担当役員と顧問公認会計士から報告を受けただけ」と話している。

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東京魚市場卸協同組合:債務帳消し 都出資のファンド、事後に内規変更--投資対象に

 築地市場(東京都中央区)の仲卸業者でつくる東京魚市場卸協同組合(東卸)の債務9億7500万円が、都の出資する中小企業再生ファンドの介在で事実上帳消しになった問題で、ファンドがこの債務処理の直後、投資対象に協同組合を加えるよう内規を変えていたことが分かった。事後につじつまを合わせた形で、債務処理の不自然さが改めて浮き彫りになった。

 このファンドは「東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合」。情報公開請求に応じて都が開示したファンドの事業報告書などによると、都と民間の出資者が出席して05年3月18日に開いたファンドの第1回組合員集会で「組合契約」を変更、協同組合を新たに投資対象に加えた。

 東卸の関係者によれば、ファンドはその3日前の3月15日に問題の債権を債権者の農林中央金庫(農中)から購入した。ファンドは1カ月後、債権を債務者の東卸に4500万円で売却、差額9億3000万円が帳消しになった。報告書には、ファンドが4200万円で債権を買い取った旨の記載があり、農中が損失をかぶったとみられる。東卸の伊藤宏之理事長は総代会で「都の支援も頂き、一件落着した」と述べ、都の関与を示唆した。

 東卸は、築地市場移転をめぐり賛成派と反対派に割れており、反対派の理事らは「移転に絡めて、都が(賛成派の)理事長らに便宜を図ったのではないか」と指摘している。

 都産業労働局は事後に組合契約を変えたことについて「契約修正は必要に応じて随時しており、出資者全員の同意があれば事後でも許される」と話している。

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